(même table des matières en français)
マザリナード文書とは何か
――コーパスとしての東京大学コレクション――
《目次》
第I巻
序論 …………9
第1部
一般的な辞書による定義 および歴史的背景と語源
第1章 一般的な辞書にみる《 mazarinade 》の定義と派生語のメカニズム ……18
I. 一般的な辞書の記述 …………18
II. 固有名詞からの派生語;人名《 Mazarin 》と接尾辞《 -ade 》の結合 ……19
III. 《 mazarinade 》という語が指し示す「もの」──〈フロンドの乱〉における「マザランに対する誹謗文書」 …………21
第2章 〈フロンドの乱〉La Fronde(1648-1653) …………22
概観 …………22
1.時期 …………22
2.発端 …………22
3.名称の由来 …………23
4.ふたつのフロンド …………25
I. 〈高等法院のフロンド〉(1648年1月─1649年4月1日) …………26
1.徴税と統治システムの変化 …………26
1-1. 一般官職保有者と税(売官とポーレット税) …………27
1-2. パリ高等法院の自己防衛策 …………29
1-3. 〈ポーレット税〉による圧力 …………29
1-4. パリ市民と税 …………31
1-5. 市民のフロンド:サン‐ドニ街の暴動 …………32
2.〈バリケード〉の二日間(1648年8月26-27日) …………33
2-1. パリ高等法院急進派逮捕と都市の自衛機能の発動 …………33
2-2. ブルーセル逮捕の情報が市民に与えた影響 …………36
2-3. 群集の力 …………37
3.〈パリ包囲〉(1649年1月6日─4月1日) …………39
3-1. 王の不在 …………39
3-2. 政治的賭金の多様化 …………40
3-3. 内乱の拡大 …………42
3-4. 地方への波及 …………42
《年表 I 》1648年?1649年 …………44
II. 〈大貴族のフロンド〉(1650年1月18日─1653年7月31日) …………48
1. 反コンデの政治情勢 …………48
2. 大貴族たちの逮捕後 …………49
3. 共通の標的:マザランの追放 …………50
《年表 II 》1650年?1653年 …………52
第3章 マザランと〈フロンドの乱〉 …………58
I. 出生からフランスの宰相になるまで(1602-1648年) …………58
1.イタリア出身 …………58
2. 教皇軍の指揮官から外交官へ …………59
3. リシュリューの後継者として …………61
4. 贖罪の山羊へ …………63
II. 「マザラン」のもつふたつの面 …………64
1. 新しい政治体制への新旧両勢力からの反発 …………64
2. 群集煽動と贖罪の山羊 …………65
第4章 スカロンの『ラ・マザリナード』La Mazarinade …………69
I. テクスト …………69
II. テクストの構成 …………80
1.(第1行?第34行目)導入部 …………80
2.(第35行?第124行目)マザランに対する愚弄 …………81
3.(第125行?第317行)マザランの行動に対する非難 …………81
4.(第318行?第338行)判決 …………81
5.(第339行?第396行)予言 …………82
III. ビュルレスクという表現形式の問題 …………83
第1部の結論 …………83
第1部の註 …………84
第2部
実体としてのマザリナード文書
東京大学総合図書館所蔵コレクションの記述
第1章 東京大学総合図書館所蔵コレクション …………93
I. 文書の存在と保管様態 …………93
1. 紹介文から …………93
2.東京大学コレクションの目録 …………96
第2章 マザリナード文書と研究者をつなぐ目録の重要性 …………100
I.コレクションと目録の関係 …………100
1.相互補完関係 …………100
2.各コレクションのインターフェイスとして機能するための形態 ……101
3.各コレクションの枠を越える上位の集合としての「マザリナード文書総合目録」の必要性 …………101
II.モローの『マザリナード文書総目録』Bibliographie des Mazarinades …… 103
1. 現在の「標準的総合カタログ」 …………103
2. モローを元にしたマザリーヌ図書館のカタログの例 …………104
III. モローの『マザリナード文書総目録』の問題点 …………106
1. すべての文書を記載しているわけではない.また厳密なアルファベット順でもない.(解決可能な問題点) …………106
2. 資料体の曖昧な対象化(解決不能の問題点) …………107
2-1. 調査の対象となったコレクションの不明と非網羅性 …………108
2-2.選択基準の恣意的な受動性 …………108
IV. マザリナード文書の総体を目録化するときのふたつの基本的条件…………111
1. 調査対象としたコレクションの明示 …………111
2. 総和か選別か,選択条件の明示 …………111
V. 現在進行中の「総合目録」 …………112
1. ユベール・キャリエによる「総合目録」 …………112
2. キャリエの目録と東京大学コレクションの関係 …………113
第3章 東京大学総合図書館蔵コレクションの記述 …………115
I全体の由来 …………115
II各コレクションの由来と特徴 …………117
第1コレクションA(全9巻) …………117
a) 外見的特徴 …………117
b)由来および特徴 …………117
第2コレクションB(全20巻) …………124
a) 外見的特徴 …………124
b) 由来および特徴 …………125
第3コレクションC(全12巻) …………135
a) 外見的特徴 …………135
b) 由来および特徴 …………136
第4コレクションD(全2巻) …………148
a) 外見的特徴 …………148
b) 由来および特徴 …………148
第5コレクションE(全1巻) …………154
a) 外見的特徴 …………154
b) 由来および特徴 …………154
IIIコレクション全体の総数と調査結果のまとめ …………159
第4章 《 mazarinade 》語義の変遷 …………162
I. 同時代人の使用:フロンドの乱の同時代人にとって《 mazarinade 》という単語が示したもの …………162
1. スカロン以前:マリニーのトリオレtrioletの用法 …………163
2. スカロン以後:《 mazarinade 》のジャンル化 …………165
2-1. 所有形容詞「ma」と表現の問題 …………165
2-2. 定冠詞「la」により獲得される《 mazarinade 》のジャンル的独立…166
II. 文芸ジャンルから政治的言説のジャンル「マザリナード」へ …………167
III. コレクターの登場 …………171
1. 文書の集合化 …………172
2. 価値の変化 …………176
第2部の結論 …………179
第2部の註 …………179
結論 …………192
参考文献表 …………197
225点の文書の検証結果 (1?94)
東京大学コレクション図版 (1?16)
全体(p.1) /コレクションA(p.2-4)/コレクションB(p.5-8)/コレクションC(p.9-12) コレクションD(p.13-14)/コレクションE(p. 15-16)
第II巻
東京大学総合図書館所蔵マザリナード文書コレクション 目録1
・凡例(この目録の位置づけp.1/記述方法I.基本となる記述内容p.3/II.個別の例p.4)
・コレクションA
第III巻
東京大学総合図書館所蔵マザリナード文書コレクション 目録2
・コレクションB
第IV巻
東京大学総合図書館所蔵マザリナード文書コレクション 目録3
・コレクションC
・コレクションD
・コレクションE
・Concordance
おわりに
* お詫び *
第II巻目以降,目録部分の分冊は2冊の予定でしたが,厚みにより3冊に分けなければ製本できませんでした.本文中には「目録は2巻」となっておりますが,3つに分かれております.ご不便をおかけして申し訳ありません.なにとぞご了承ください.
記号や省略,タイトルの表示などの凡例
I. 本文中にフランス語が多く出てくるため,以下のように処理した.
例1.《 mazarinade 》
《 》は,その単語の意味が問題になっている場合に,フランス語をそのまま入れ,辞書の見出し語と同様に区別するために使用した.
例2.〈フロンドの乱〉La Fronde
〈 〉は,歴史の用語で,事件や税の名称の日本語訳に用い,初出には〈 〉の後にフランス語の原綴を続けた.
例3.「クーリエ courrier」,「彼のマザリナード ses mazarinades」
「 」は,フランス語の名詞や表現だが,カタカナ表記にしても,また訳をつけても日本文化にはなじみの薄いものに,訳語と原語を同時に示すために用いた.あるいは,二つ目の例のように,文中に日本語訳と同時にフランス語表現を並べて参照した方がよりよく理解される場合に用いた.
例4. ? Ce livre n’est pas… ?
? ?は,フランス語の短い文を本文中に引用するために用いた.
a.「この製本された一揃いの文書は…」(? Cet ouvrage a …. ?)
フランス語からの引用は,短いものは原則として,先に日本語を「 」に入れてから,そのうしろの( )に, ? ?をつけた原文を続けるか,あるいは? ?をつけたまま註に送った.
b. ? Les mazarinades sont… ? (「すべてのマザリナードは…」)
フランス語の表現を特に強調したい場合には,例外的に,先に原文を出し,そのあとで( )内に訳を続けることもある.
*フランス語の長い文章の引用は,行を改め,中央に寄せて,その下に日本語の訳を示した.
例5.La Gazette
17世紀の定期刊行物等のフランス語タイトルは,括弧をつけずにそのまま表記した.
例6.「RECVEIL DE DIV. PIECE」
コレクションの既述の中で,外見的特徴として示される「書き込み」のフランス語は,転記であることがよくわかるように,訳をつけずそのまま,「 」内に表記した.あとで,説明のために訳をつけるときは,例3に準じる.
II. 著作の原文表題の省略について
・Carrier
ユベール・キャリエの以下の3つの著作は,頻繁に参照されるので,初出以外は,タイトルの一部(下線部)で表記した.
Les Muses guerrières:
Les Muses guerrières. Les Mazarinades et la vie littéraire au milieu du XVIIe siècle : courants, genres, culture populaire et savante à l’époque de la Fronde.
La conquête de l’opinion :
La Presse de la Fronde (1648-1653) : Les Mazarinades. La Conquête de l’opinion.
Les Hommes du livre:
La Presse de la Fronde (1648-1653) : Les Mazarinades. Les Hommes du livre.
・Naudé
ガブリエル・ノーデの次の著作は,一般に通用しているように,初出から,「登場する対話者の名前」――Mascurat――で表記した.
Mascurat :
Iugement de tovt ce qvi a esté imprimé contre le cardinal Mazarin, depuis le sixiéme [sic] Ianuier iusques à la Déclaration du premier Auril mil six cens quarante-neuf.
これらの著作は,すべて参考文献表に詳しく記載されている.
III.マザリナード文書のタイトルの表示について
マザリナード文書のタイトルについては,本文中に原文のまま表記した.長いものも多く,日本語に訳しても類似の文書と区別のつきにくいためである.また,あまりに長いものは,後半を省略した.全文は分冊の目録に掲載している.そのため,目録における整理番号はかならず併記した.